「飲み会に行かない人」になって楽になった話

会社の飲み会には行かないと決めた理由
入社2年目までの私
今の会社には中途入社した。入って間もない頃は、会社の雰囲気や人間関係を把握するためにも、飲み会にはほぼ毎回参加していた。
特に最初の2年間は「新入りだから断りづらい」という気持ちが強く、自然と流れに任せて出席していた。
会費は1次会が1,000円程度と手頃に見えても、2次会は自己負担でさらに出費がかさむ。
お店までの移動時間、1次会、2次会、そして帰宅までを合わせると、ほぼ4時間近くが飲み会に費やされる。
飲み会は多くの場合、金曜日の仕事終わりに設定されるため、土日休みの前日夜という貴重な時間が奪われていた。
特に私の場合、週末は趣味や家族との時間を優先したいタイプだったので、この拘束感は大きなストレスになっていった。
気づいたこと
そもそも、これまで会社の飲み会に参加してきて「有益だった」と思える瞬間は、一度たりともなかった。
確かに、最初の頃は「部署の人となじむため」「人間関係を円滑にするため」という理由で参加していたが、実際にはどうだったか。一次会が始まって30分も経てば、話題は仕事の愚痴か上司の武勇伝、もしくは個人のどうでもいい身の上話に終始する。
中には仲間内で盛り上がっている人もいるが、こちらが知らないプロジェクトやプライベートな話ばかりで、ただ笑顔で相槌を打つだけの時間が続く。
皆がお酒を重ねるにつれて会話の内容はどんどん曖昧になっていき、2時間もすれば声は大きくなり、同じ話を何度も繰り返す人も出てくる。私が真剣に耳を傾けていた話も、翌週の月曜にその本人に尋ねると「え?そんなこと話したっけ?」と返されることも少なくない。
それもそのはず、ほとんどの人は酔った勢いで話しているだけで、その場限りの空気を楽しんでいるにすぎない。
だからこそ、私は気づいたのだ。「この場での会話は、業務に何の影響も与えないし、翌日にはほぼ消えてなくなる」という事実に。むしろ、疲れて帰宅が遅くなり、翌朝のパフォーマンスが下がることの方が問題だと感じた。
会社の人間関係は、私にとっては始業打刻から終業打刻までがすべてだ。業務時間外にまでその関係を引き延ばす必要はない。職場の人は、あくまでも「一緒に仕事をする同僚」であり、友人ではない。もちろん、たまたま気が合ってプライベートでも交流する相手ができることもあるだろう。だが、それは自然にそうなるものであって、飲み会という半ば強制的な場で築くものではないと思っている。
結局のところ、飲み会は私にとって「時間」と「お金」を消費するだけの行事だった。その時間があれば、家族と過ごすことも、自分の趣味に没頭することもできる。そう考えるようになってからは、仕事仲間と距離を取ることに罪悪感を持たなくなり、自分の生活の質が大きく向上した。
業務への影響は?
飲み会に参加しなくなっても、業務に支障はまったくない。
一部の人たちは仲良しグループを作って休憩時間や昼休みに盛り上がっているが、私にとって会社はあくまで仕事をする場所だ。
もちろん、雑談や冗談を交わすことが完全に不要だとは思わない。適度なコミュニケーションは業務を円滑にする潤滑油になるし、現場の雰囲気も和らぐ。
しかし、業務に直接関係のない話題に長時間付き合ったり、無理に輪の中に入ったりする必要はないと考えている。私は必要な会話はきちんと交わし、仕事に関わる情報共有や報告連絡相談は欠かさない。
それ以上の時間やエネルギーは、自分の業務やプライベートに回す方が有意義だ。結果として、周囲とも問題なく連携でき、むしろ集中して成果を出せる環境が保たれている。
スタンスを固めたら起きた変化
飲み会を断り続けていると、次第に誘われなくなった。
最初のうちは「どうして来ないの?」と聞かれることもあったが、理由を簡潔に伝え、断る姿勢を一貫して続けていると、周囲もそれを理解するようになった。
やがて「飲み会に行かない人」というキャラクターが定着し、今では誘いそのものがほとんどなくなった。
この状態になると、断るための余計な気疲れや説明の手間がなくなり、精神的にも非常に楽だ。
その分、浮いた時間とエネルギーを自分のやりたいことに使えるため、生活の満足度が確実に上がったと感じている。
例外として「送別会」だけは行く
私にはひとつだけ、必ず参加する飲み会がある。それは送別会だ。
関わりの多さや部署の距離感に関係なく、同じ職場で働いてきた仲間が転勤や退職で去るときは、
その門出を見送りたい。これは、単なる儀礼ではなく感謝の気持ちを直接伝える場だと思っている。
逆に言えば、それ以外の飲み会――歓迎会、新年会、忘年会、本社のお偉いさんが来る会――には一切参加しない。
そもそも、私は勤務時間外には一切仕事の話をしないと決めている。
時間外の飲み会で業務の延長のような会話をするのは、私にとってはサービス残業以外の何ものでもない。
オフの時間は完全にプライベートとして過ごす。この線引きがあるからこそ、オンの時間に集中できる。
まとめ
飲み会に行かない選択は、周囲から見れば少し変わっていると思われるかもしれない。
実際、「なんで来ないの?」と不思議そうに聞かれたこともある。しかし、私にとって会社はあくまで仕事をする場所であり、仕事が終われば自分の時間に戻るのが自然なことだ。
自分の時間とお金をどう使うかは、自分で選択すべきだと思う。飲み会に行かないことで「人間関係が悪くなるのでは?」という不安を持つ人もいるかもしれないが、必要な業務連絡や日常のコミュニケーションさえきちんと取っていれば、何の問題もない。
むしろ、無駄に感じる場に時間とお金を消費しないことで、週末や平日の夜をより有意義に過ごせるようになった。家族との時間、趣味や勉強、休息など、自分の成長や心身の健康につながることに投資できる。
最終的に、この選択は私の生活の質を大きく向上させた。だからこそ、これからも私は「行かない」というスタンスを貫き、自分にとって価値のある時間の使い方を選び続けたい。

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